シーラカンスの唄


彼は溜息をついて、私の頭の上に手を乗せた。

「まぁ…シーラカンスが唄ってたら教えてくれよ。」

「そんな事言って…どうせ興味ないくせに。」

「バレたか。」

「………バカ。」

何となく悔しくて、軽く作った握りこぶしを笑っている彼にぶつける。

「痛い…。」

「笑った罰です。」

「はいはい。よっ…と。」

「……あれ?今日帰るの?」

彼は急に荷物を持って立ち上がった。

「あぁ。明日仕事入っちゃったんだ。」

「言ってくれればいいのに…。」

「言っても仕方ないだろ?」


¨じゃあな¨と言って、彼は玄関を跡にした。


彼は私の彼氏。
付き合い始めてまだ3ヶ月。

友達の結婚式の二次会で知り合って、仲良くなって。
何度か一緒に出かけて。

そして、告白された。
その告白が…手が込んでいて、思わず泣かされた。

いつも私の事を一番に、一生懸命考えてくれて。
私にはもったいないくらいのすごく優しい人。

同じ26歳で年齢も年齢だし…口にはしないけど、一応お互いに結婚まで考えている。


誰から見ても、私は愛されていて。
特別なことはないけど。
今はとっても幸せだった。


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