シーラカンスの唄


「資格なんて要らないだろ。」

その言葉は私の耳元から聴こえた。
私は気付けば翔の腕の中に居た。

「嫁、来るだろ。返事は?」

「……。」

「返事ー。ハイ…しか聴かないけど。」

「………。」

「ハイは?」

翔は何も言わない私のおでこにコツンとおでこを当ててもう一度聴いた。

「………ハイ。」

その返事に翔は満足したように笑って、私にキスを落とした。


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