シーラカンスの唄
「そんなに解りやすく何回も溜息つかないでくれる?」
「…無理です。」
「………。」
やっぱり可愛くない。
口の端が笑ってるし…。
きっと私が怒らないとか思ってるんだろうな。
「ちなみに深海って何かいるの?」
「何って…俺はマントルを見に行くんですが…まぁ途中、深海魚とか見れるかもしれないけど。」
「深海魚?」
「うん。ちなみに俺が好きな深海魚はシーラカンスです。」
「聴いてないけど?」
「言いたかっただけだし。」
「ふーん。」
「……てか、まさかシーラカンスも知らないとか言います…?」
その瞬間、カレは顔を思いっ切り引き攣らせた。
「や…さすがに知ってるけど。」
「……だよね…。」
そう言って、カレがそっと胸を撫で下ろすのを見て、思わず私もムッとしてしまう。
「…………じゃあシーラカンス居たら写メ撮ってきてよ。」
「はぁ?!」
ちょっと悔しいから言った一言に、カレは思いっ切り驚いて見せた。
「写メ。」
「……無理。てか、泳いでるとこなんて撮れたら大発見でニュースになるし。」
「え、そなの?」
「はぁ……。」
不思議そうな私にカレはまた深い溜息をついた。