私は塾の先生に恋をした。
「小崎ぃ、ちゃんと勉強してるかぁ〜?」
「いつもしてないみたいな言い方しないでよね」
この人は佐々木(さーちゃん)。
そんなに大きい方ではないけど、私の目線に肩があるくらいだ。
真っすぐの長め茶髪、少し垂れた目。
この人も多分イケメンの部類になるのだと思う。
「さーちゃん、前髪切ったら?」
「これはなぁ、俺のチャームポイントなんだよ」
目、痛くないのかなあ。
「佐々木はほっとけ、馬鹿だから何言っても聞けねえんだよ」
イシシ、と悪戯っぽく笑うこの人は柿沢(かっきー)。
黒くツンツンした髪に、黒縁眼鏡。
細身で長身、この人もイケメン。
「あぁ〜、柿先輩ひどいっすよぉ」
さーちゃん−が、かっきーに文句を言う。
さーちゃんとかっきーは、高校時代の先輩後輩の仲なのだ。
「いっそ、坊主にしちめぇばいいんじゃねぇの?」
「私もさーちゃんの坊主頭見たい」
「…絶対やだ」