私は塾の先生に恋をした。
「あはは、まぁそのぐらいにしないと、佐々木拗ねるよ」
この優しそうな人は、大川(おおちゃん)
なにもいじっていない綺麗な黒髪に縁無し眼鏡。
華奢で細身、この人もまたイケメン。
「佐々木が拗ねたら、授業後のアイスがおごってもらえなくなっちゃうからな」
「お、大先輩はそういう理由っすか…」
「いじられてるね、さーちゃん、あはは」
他にも、講師は何人かいるけど、今日はいないみたい。
「じゃあ小崎は俺がいじってやるよ」
「ぎゃああっ、塾長いつから背後にいたのぉお」
「5分くらい前」
「ぎゃあああぁ」
この人は塾長(塾長)。40歳には見えない細身なスタイルに、瞬発力に、足の早さ。
この人に何回、捕まったことか…。
「じゃあ私はチャイム着席を守らないとぉ!」
「あ〜!いっつも大して守ってねえくせに!!」
塾長の声を背中で聞いて、だだだっと階段をかけ上がった。