Underground-アンダーグラウンド-
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「ねーねー、玉造君!
もう今日は講義終わりだよね!
ここ、教えてくれない?さっきの講義で
聞き逃しちゃってさ…」
振り向けば、目の前に立っているのは
見慣れない女子学生であった。
「……別に構わんが………。」
ぶっきらぼうに答える。
しかし、帰って来た返事は回答と同意に
対する礼でも、“分からない所”でもなかった。
「きゃーっ!!!」
「こっち振り向いてくれたよー!」
「やっぱカッコ良過ぎいぃいい!」
「近くで見るとマツゲ長ーーーい!!」
「やだぁ、長いのは髪の毛もでしょーー?」
明らかに黄色い声。
しかもなぜか人が増えている。
「……………。」
何時の時代も、21世紀になっても
雌、女という物は煩いと思う。
まとまって勝手に騒いでいる女子学生達に
気づかれるよりも早く、彼、
玉造夜刀(タマツクリ ヤト)は
教科書〔人間学−歴史編〕を閉じ、
うんざりと大学の講義棟を後にした。