『若恋』短編集1【完】
目を丸くしておじさんを見てたら、育子も樹も育子の彼氏も何事かと寄ってきた。
「りお?大神さん、いったいどうした」
「カメラマンと偽ってりおさんの写真を撮ろうとしてたんです」
榊さんが奏さんを振り返る。
「どうしますか?若」
「つまみだせ」
「あいよ」
カメラマンの襟をグイと掴んで仁さんが引き摺るように入り口の方へ連れていく。
「わ、悪かった!可愛い娘だったからちょっと出来心で!」
喚いているのが聞こえたけど仁さんは無視してた。
「偽物カメラマンだったんだ…」
びっくりした。
その偽物のカメラマンとは知らずにカメラの前で決めポーズをするところだった。
「りおは危機感ねぇから困る」
奏さんが怒ってる。