『若恋』短編集1【完】
「若、りおさんは若の気持ちにまるで気づいていませんね」
「そうらしいな」
「このままでいいんですか?このままいくと、樹っていう同級生に盗られますよ」
「………」
「怖いんですね」
「………」
バシャッ!
「冷たいでしょ?」
水鉄砲で深刻そうな話をしていたふたりに水をかけた。
「奏さん、榊さん、一緒に遊ぼう!」
せっかくみんなでプールに来たんだもの。
楽しく遊びたい。
「奏さん早く!榊さんもほら!」
ふたりの腕を引いて一緒に水に飛び込む。
今日はありがとう。
もう大丈夫だよ。
わたしにはみんながいる。
―――ありがとう
ふたりの夏【完】