『若恋』短編集1【完】
黒曜石の瞳が目の前でゆっくり閉じられた。
重なるくちびるが、
重なった吐息が徐々に深みを増す。
立っていられなくて手首を縫い止められたままズルズルと下がる。
「おっと」
力の抜けたわたしを奏さんは軽々と抱え直した。
「……カレーより、りおが食いたい」
「え?」
返事ができないでいると。
「…おまえが嫉妬してくれたのが嬉しい」
ひょいとお姫様抱っこしてキッチンを出た。
奏さんが突き進むのはふたりの寝室だ。
「ダメ…」
「可愛いこと言ったおまえが悪い」
ベッドに下ろすと器用にスルスルとわたしの服を脱がせていく。
「ダメ、だよ。…ご飯が」
「後でいい」
「…でも」
「黙れ」
熱いキスをされて同時に奏さんの指にも反応してしまう。