『若恋』短編集1【完】
「ここに」
「え?」
鏡台の方へ奏さんが指差しする。
「見えるか?」
鏡に映ったのは首筋、胸元に咲く赤い花。
―――キスマーク!
「悪りぃな、他にもつけた」
「ええっ!」
慌てて体に巻いたシーツの中を覗き見る。
お腹にも太ももにも赤い花が咲き乱れてた。
「…奏さん、これじゃ」
部屋から一歩も出られないよ。
「出なきゃいいだろ。ってか、当分出さねぇし」
ベットの軋みが大きくなって更に奏さんが側に寄る。
「今日は寝かさねぇからな」
「え?ちょっ、あの、奏さん…」
「潤んだ目で見るなよ」
「だから、あの、違っ」
「理性ぶっ飛ぶだろ」
きゃあー!奏さんやめてぇ!
「―――ごちそうさん」
わたしの胸元に噛みついた奏さんが満足げに笑った。
奏さんの写真【完】