ケダモノ、オオカミ 時々 王子
「処分は後で考えるから戻っていいわ」
…。
「処分ってなんだろ」
先生が職員室に戻った後
私は立郁に尋ねる。
「さぁ。退学とか、良くて停学」
「うそ…。父親に殺される」
私の顔がみるみる青ざめていく。
「そんな焦んなって」
笑ってる場合じゃない。
私の父は教育熱心で、恐ろしい。
この街の巡査部長ってせいもあって、年頃の私も道を外さず至って真面目。
「まだ死にたくない」
「殺されやしないって」
「父親に」
「…」
かの有名な澤田雄三巡査部長。
立郁も知ってるみたいで良かった。
「悩んでても仕方ないから帰らない?」
「送る」
「一人で大丈夫。甘やかされるのに慣れてないしね」
「俺とあんだけラブラブしてたくせに今更照れてんのか~?」
「はぁ?あんたが勝手にしたんでしょ」
私が怒鳴っても立郁は一歩も引かない。
でも私の根性も男並に図太い。
今日、巡査部長こと私の父は、夜勤明けで家にいる。
ヤンキー男とのこのこ帰って行くなんて危険は犯せない。
「いいか。俺は絶対李由を送るからな」
「なんで?」
「んー。得に理由は無いっぽいけど、気になるから?」
嬉しいのやら、悲しいのやら。

で。
結局送られてる私。
「今日は父親がいるの」
「じゃあ俺が挨拶するよ。変な男がくっつくよりお父さんも安心安心」
あんたみたいな人を変な男って言うんだけど。
「さぁ、着いたよ」
「送ってくれてありがとう。早く帰って」
「おう!じゃ、また学校でな」
元気よく手を振る立郁。
微笑んで立郁を眺めてる私。
そして、
私たちに着いて来ていた黒い影が最悪の結果を巻き起こすなんて知らなかった………。
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