恋愛電車。
…って!!感動してる場合じゃないわよ、自分!!


恥ずかしくて、手元にある彼の生徒手帳を見た。


葉沢学園中等部三年
篠原 静二


うそっ、同い年!?

あたしも中三。
流石に学校は違うけれど…


篠原くん…か。


「本当にありがとうね。これ落としたらヤバかったよ」


「はいっ」


篠原くんは生徒手帳を受け取ると、丁寧に鞄の中にしまった。


「それじゃ……あ」


「あ」


ピタリ。と、篠原くんは足を止める。


閉まった扉。
動き出す景色。


「あちゃ〜…。乗り過ごしちゃったな…」


ポリポリと頬を人差し指で掻いて、ボ〜ッと外を見ている。


も、もしかして…
いや、絶対…あたしの所為!?


「ごっ、ごめんなさい!!あたしが呼び止めたりしたから…」


「へッ?!きっ…キミの所為じゃないって!!落とした俺が悪いんだし…」


あたしが頭を下げると、篠原くんは慌てだす。

…優しいな…。


とりあえず空いている席に座ろう。と、あたしたちは近くの座席に腰を下ろした。


結局、篠原くんも次の駅まで電車に乗ることになってしまった。

申し訳なくて、未だに顔を上げられないあたし。

それに…恥ずかしいし…。


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