恋愛電車。
「キミ、よくこの電車に乗ってるよね?」


「えっ!?」


思わぬ篠原くんの台詞に、驚いてうつ向いたままだった顔を上げた。


「たまに見掛けてたんだぜ?可愛いコだなぁってさ♪」


「なッ…なななッ…!?」


あまりに信じがたい衝撃的な台詞に、あたしは舌が回らない。


「なんてね。照れちゃって〜…可愛い♪」


「ッ!?」


ツンッ。と、人差し指であたしの頬をつついた篠原くん。


あたしは先ほど以上に頬を紅潮させた。


「えっと…。名前、なんてゆーの??」


「えっ、あ…」


お、落ち着け。自分ッ!!
深呼吸して…。


「そういうのは、自分から名乗るものですよ?」


「あ。そっか〜。悪い悪い♪」


やっぱり落ち着けない!!

篠原くんの名前は知っているけれど、先に言ってもらうことにしよう…。


篠原くんはアハハと笑いながら、頭を掻いている。


未だに信じられない。
夢でも見ているかのよう。

いつも憧れて見つめていた彼が、今、あたしに向かって…微笑っているなんて。

夢ならお願い。
覚めないで…。





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