恋愛電車。
「俺は篠原静二!しくよろ♪」


にっこり笑顔で篠原くんは自己紹介。


…知っています。
なんて…。


「あたしは雛森佳鈴です。一応中三…」


「へぇ~。俺と同い年じゃんね♪
だったらタメで話してくれてもいいのに~」


「いや…。初めが敬語だったので、つい…」


えへへ…。と、赤い顔のままあたしは小さく笑う。


「俺は葉沢中なんだけど…雛森サンは?」


「あたし?あたしは、瑠華学園です」


あたしの答えに、篠原くんは目を丸くした。


「マジ!?あの、金持ち学校?」


「金持ちって…。見た目はそうですけど、結構普通の学校ですよ?」


「え?そなの?」


「はい」


コクリと頷くと、篠原くんは「なんだ。つまんないの~」などとぼやいていた。
つまんないって……一体何を期待していたのだろうか。


「葉沢中学校だって結構有名じゃないですか。運動部が強いって…」


「へっへ~ん!すごいでしょ」


そう言って篠原くんは得意気にそう言った。
あたしは「そうだね」と答えて、小さく微笑う。


「因みにー。俺、テニス部正レギュラーなんだぜ?」


「テニス部…って、硬式の!?」


「そ。硬式男子テニス部ね」


テニス部の噂は聞いた事がある。
毎年毎年全国大会一位だって…。


「でも…ラケット持ってないよね?」


「アハ…。それが、ガットが全部切れちゃってね、張替えに出してんの」


そう言って篠原くんは笑う。


……やっぱり、学校でもモテてるのかなぁ…。


そう思うと、違う学校である自分に怒りを覚える。
……って、何考えてるんだろう。あたしってば…。





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