天神学園高等部の奇怪な面々Ⅶ
お嬢様の傍らで、二宮が腕時計を見る。

「ですがお嬢様、確かにそろそろお時間でございます」

「そうなの?もう…仕方ないわね…」

お嬢様がゆっくりとデッキチェアから立ち上がると、二宮が素早く日傘を差した。

「んもぅ…日差しが強いわね…私のお肌が台無しだわ…二宮、明日はエステで肌の手入れをするわ、すぐに予約を入れて頂戴」

「はっ」

片手でお嬢様に日傘を差しつつ、もう片方の手で携帯を取り出してエステの予約の電話を入れる二宮。

万能すぎる。

そんな彼を引き連れて。

「どれ…その庶民の競技…綱引きとやらに参りましょうか」

お嬢様は優雅な足取りでグラウンドへと向かった。

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