天神学園高等部の奇怪な面々Ⅶ
「止した方がいいな、レーさんよ」

突如語り掛けられ、玲菜は振り向く。

…老人が、立っていた。

剣道着を纏った好々爺。

足元は下駄履き。

なのに接近され、声をかけられるまで玲菜は気づかなかった。

「藤原翁…」

玲菜は声を殺して呟く。

藤原 武明(ふじわら たけあき)。

藤原 宜虎、藤原 月姫の曽祖父で、藤原道場の現役道場主。

その腕を買われて(半ば押しかけ的に)天神学園の剣道部顧問になっている。

教員免許は持たないが教師扱い。

自由に学園を行き来している。

その老人が言うのだ。

「『アレ』はほんに、自由奔放な臥竜じゃよ…まだ寝惚けとるでな、力量こそ知れているが…あんまり怒らせん方がいい…寝てても龍には違いないでな」

高笑いしながら、藤原翁は歩いていった。

「龍は人間の手には余るよ」

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