天神学園高等部の奇怪な面々Ⅶ
さて、マドレーヌとドーナッツを食べ終わり。

「それじゃあ行って来るね~…」

ぽやんとした表情で龍太郎に手を振りながら、遡雫は柿ピーと共にグラウンドに歩いていく。

「大丈夫なんかのぅ、遡雫の奴。ありゃあ相当食うとるぞ、ウイック…」

遡雫の心配をする藤原翁は、相当酒を飲んだ様子。

「でもなぁ…」

龍太郎は頭を掻く。

「競技に差し障ると思って食べ物取り上げようとしたら、遡雫の奴、目ぇウルウルさせて見上げるんだぜ?取れねぇだろ、それじゃあ…」

「流石の龍太郎も、泣く子には勝てないか?」

クスッと笑う玲菜。

「違いますえレーさん、丹下はんは『小夜はんと遡雫はん』には勝てへんのどす」

意味ありげにクククと笑う冬月。

「というか龍太郎は勝った回数の方が遥かに少ないですけれど、ねぇ二宮?」

「はっ、お嬢様の仰る通りです」

お嬢様と二宮の会話に。

「うるせってんだ!」

龍太郎がガーッ!とまくし立てた。

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