毎日がカレー曜日2

 綺麗にまとめられた髪。

 その、うなじ。

「共通点なら…被害にあったものが全部……」

 しゃべっているのに、自分の声ではない気がする。

 何で、こんなに声が出しにくいのだろう。

「全部……電化製品ということか?」

 そこまで、何とか言葉にした時。

 ふわっと空気が動いた。

 サヤが、書類から孝輔の方を振り向いたのだ。

 その黒い瞳が、はっきり分かるほど輝いた。

「電化製品!」

 すぐ間近で、喜びの声が上がる。

 一瞬で、笑顔に変化するその表情が、彼の間近で炸裂するのだ。

「インドじゃありません……もっと前」

 嬉しさが溢れているせいか、サヤの言葉は不明瞭だった。

「そうです、もっと前……私は、これとよく似たものを聞いたことがあります」

 孝輔は。

 動けなかった。

 ひきよせられるように、彼女を見るので精一杯。

「機械にばかりいたずらをする……最近の精霊」

 名前は。

 ゆっくり、一文字ずつ唇が動く。

 孝輔には、こう聞こえた。

『グレムリン』
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