毎日がカレー曜日2
「どうやって、捕まえるかが一番難しいな」

 眉間に縦ジワを寄せて、孝輔は唸った。

 確かに。

 極秘調査の時も、素早くそれは消えてしまったではないか。

 直樹のスピードと体力がいかほどなのかは分からないが、簡単にはいかないだろう。

「機械大好き精霊、ね」

 天井を仰ぐ孝輔。

 そんな彼のために、サヤはコーヒーを入れることにした。

 少し、息抜きをしたほうがよさそうだ。

 給湯室に向かって歩き始める。

 ここのコーヒーは、インスタント。

 粉をサジですくってマグカップに落とす。

 ミルクも砂糖もなし。

 湯沸しポットからお湯をそそいで、くるっとかきまぜると出来上がり。

「孝輔さんなら、きっと捕まえられますよ」

 まだ唸ってる彼に、マグカップを渡す。

 はっと気づいたように、彼はそれを受け取った。

「無責任なこと言うなよ…」

 顔をぐしゃーっと歪めながら、彼はコーヒーに口をつけた。

 苦かったせいではないだろう。

 飲む前に、すでにその顔だったのだから。

「でも、グレムリンの気持ちが、一番分かるのは…孝輔さんじゃないですか?」

 機械が大好きなのは、彼も同じだ。

 何しろ、ここにある装置は、全て彼の組み立てによるものなのだから。

 この事務所の中の誰よりも、グレムリンに近い男。
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