毎日がカレー曜日2
「捕まえられそうですか?」

 車での移動中、彼女は本当に興味深げだった。

「わかんねぇ」

 自信を持ってカッコイイことを言えないのが、微妙に悔しい。

 分からないから、テストに行くのだ。

 グレムリン君が、孝輔の予想通りの動きをしてくれるかどうか。

 それがうまく行けば──

「何を作られたか、楽しみです」

 にこにこ。

 サヤなら。

 笑顔の彼女を、ちらりと横目で見ながら、彼はふと思った。

 サヤならきっと、孝輔の仕事を理解してくれるだろう。

 いままでの彼女たちの、誰もができなかったそれを、楽々クリアできるのだ。

 それどころか、自分こそ彼女をもっと理解できないといけないだろう。

 天然ものの霊能力者と、付き合ったことなどないのだから。

 あー。

 そんな理屈は脇においておいたとしても。

 孝輔は自分の頭をかく。

 朝頑張ったセットとやらが崩れるが、この時ばかりは気にならない。

 心の中でうごめく、モヤモヤ。

 それが何なのか。

 自分のことは、自分でよく分かっていた。

 そう。

 既に孝輔は、彼女が気になってしょうがないのだ。
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