毎日がカレー曜日2
 エキゾティックで、エキセントリックなサヤ。

 兄の持っていた彼女のファイルでは、いま25歳。

 孝輔より二つ年上とは思えない、掴みがたい雰囲気。
 10代の少女のように見える時もあれば、深い情緒をかもし出す時もある。

 だが。

 サヤの気持ちが、孝輔を向いていないのは分かっていた。

 かといって、直樹の方を向いているとも思えない。

 同じ仕事場の人たち。

 いまの彼の立場は、せいぜいそんなもの。

 孝輔の恋愛姿勢は、ややずるい方になる。

 相手の気持ちが、完全にこっちを向いていると分かるまでは、迂闊にしかけきれないのだ。

 かといって、外堀から埋めていけるほど器用な人間でもない。

 厄介なこった。

 要するに、相手から好きになってもらう以外、彼には手立てがない、ということになる。
 これまで付き合った経緯も、たいてい向こうからの告白だった。

「孝輔さん?」

 彼が黙り込んでいるのに気づいたのだろうか、怪訝にサヤが声をかけてくる。

「あ?」

 慌てて返事をすると。

「デパート…通り過ぎましたけど」

「げ」

 斜め後ろを指されて、孝輔は針路変更を余儀なくされる。

 カッチョワリィぜ、オレ。

 自殺点を入れてしまったサッカー選手のように、孝輔は内心でがっくりうなだれたのだった。

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