毎日がカレー曜日2
一方、グレムリンの方はと言えば。
キャッキャキャッキャと──はしゃいでいるではないか。
楽しくてしょうがない笑いだ。
よほど、彼の端末は居心地がいいらしい。
測定用のソフトは、彼が開発したもの。
かなり特殊なものだ。
特殊だからこそ、気に入ったのだろうか。
グレムリンも見たことのない、オーダーメイドのプログラム。
「S値落したる……」
グレムリンの笑いが、彼には聞こえているはずがない。
しかし、ムキになったような孝輔が、更に強く打鍵する。
S値を落とす、ということは。
グレムリンの存在を弱め、最後には消す、ということ。
端末の中で、いきなり彼らは激しい攻防を繰り広げようとしているのだ。
サヤは、ただ見守るだけしかできなかった。
こんな現代的な戦いに、古臭い彼女が手出しなど出来るはずがない。
ボタンと、数字の変化による指先だけの戦い。
「……んなろ!」
グレムリンの気配が弱まり始めたかと思うと、次の瞬間に完全に消えたのだ。
え?
唐突な消失に、サヤは驚いた。
仕事は、無事完遂できたのだろうか。
「……」
彼は、無言で端末をしまい始める。
グレムリンと追いかけっこをした、最初の時みたいな動きだ。
ただ、今度は。
サヤの視線を避けるように、顔をそらした。
「逃げられた」
そして、言うのだ──苦々しく。
きっとグレムリンは、S値を下げられるということが、どういうことか本能的に分かったのだろう。
機械に宿る彼らなら、十分ありえる。
火を恐れる獣のように、一目散に逃げ出したのだ。
「んー」
サヤを呼びもせず、すたすたと帰り始める孝輔を慌てて追いかけた。
頭の中は、さっきのグレムリンでいっぱいなのか。
「あいつは、自分でS値はいじれない」
それは、独り言だったのかもしれない。
けれども、知識の深い部分に手を差し入れている男の横顔は──サヤにも見ることが出来た。
キャッキャキャッキャと──はしゃいでいるではないか。
楽しくてしょうがない笑いだ。
よほど、彼の端末は居心地がいいらしい。
測定用のソフトは、彼が開発したもの。
かなり特殊なものだ。
特殊だからこそ、気に入ったのだろうか。
グレムリンも見たことのない、オーダーメイドのプログラム。
「S値落したる……」
グレムリンの笑いが、彼には聞こえているはずがない。
しかし、ムキになったような孝輔が、更に強く打鍵する。
S値を落とす、ということは。
グレムリンの存在を弱め、最後には消す、ということ。
端末の中で、いきなり彼らは激しい攻防を繰り広げようとしているのだ。
サヤは、ただ見守るだけしかできなかった。
こんな現代的な戦いに、古臭い彼女が手出しなど出来るはずがない。
ボタンと、数字の変化による指先だけの戦い。
「……んなろ!」
グレムリンの気配が弱まり始めたかと思うと、次の瞬間に完全に消えたのだ。
え?
唐突な消失に、サヤは驚いた。
仕事は、無事完遂できたのだろうか。
「……」
彼は、無言で端末をしまい始める。
グレムリンと追いかけっこをした、最初の時みたいな動きだ。
ただ、今度は。
サヤの視線を避けるように、顔をそらした。
「逃げられた」
そして、言うのだ──苦々しく。
きっとグレムリンは、S値を下げられるということが、どういうことか本能的に分かったのだろう。
機械に宿る彼らなら、十分ありえる。
火を恐れる獣のように、一目散に逃げ出したのだ。
「んー」
サヤを呼びもせず、すたすたと帰り始める孝輔を慌てて追いかけた。
頭の中は、さっきのグレムリンでいっぱいなのか。
「あいつは、自分でS値はいじれない」
それは、独り言だったのかもしれない。
けれども、知識の深い部分に手を差し入れている男の横顔は──サヤにも見ることが出来た。