毎日がカレー曜日2
「む?」

 しかし、直樹は彼の方を見ていなかった。

 サヤが、自分の褐色の頬をチョンチョンと指差して、茶髪メガネにクリームのことを教えようとしていたのだ。

 ほっときゃいいのに。

 目を半開きにしながら、その行動を心の中で責めてみた。

「むむ…?」

 彼女の指示で、直樹は自分の頬を触った──が、左右逆だ。

 つーか、人の話を聞けよ。

「とにかく…この計画で、デパート側の協力を仰ぐ方向でよろしく」

 孝輔は、イライラをごくりと飲み込みながら、最終決断を下そうとした。

 それをするのは兄の仕事なのだが、こんな菓子男のワガママでメチャクチャにされたくなかったのだ。

 だから、わざと強気に自分が決断したかのような言葉で切った。

 孝輔だって、いつまでも兄の言いなりではない。

 こういった駆け引きだってできるようになったのだ。

「……」

 サヤが反対側とゼスチャーで教えると、ようやく直樹はクリームの所在に気づいたようだ。

 無言のまま、クリームを指に付着させることに成功した。

 それを、ベロンとなめながら孝輔の方を向き直る。

 光るメガネ。

 直樹は、真顔のまま──

「やなこった」

 スーパーに腹の立つ男だった。
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