毎日がカレー曜日2
終
孝輔は――グレムリンを飼っている。
それは、まだ手袋の中に住んでいた。
出て行こうとすると、すぐにやる気がうせてしまうのだから、ついにそれは手袋の中から出るのをあきらめたようだ。
手袋のしわをうまい具合に使って、顔らしいものを作ることも覚えた。
手袋は軽めなので、中でのうごめきを利用して、手袋ごと動くことも覚えた。
孝輔とは、同じ機械属性で居心地がいいのか、気がつくと彼の傍で、うごうごしている。
今は、手袋の指先をつかって、飛び交う電波を捕まえようとしているかのようだ。
最近は、そんな姿を可愛いと思うようになってきた自分に戸惑っている。
そこを動いているのは、彼らの言うところの、「化け物」なのに。
「すっかり、なついちゃいましたね」
コーヒーを届けてくれたサヤが、手袋をよけながらマグカップを渡してくれる。
半端に動けるものだから、悪さをすることがあるのだ。
この間は、勝手に孝輔のパソコンのキーボードを押していた。
「同じ引きこもり同士、ひかれあってるんだろ!」
孝輔が答えるより早く、眼鏡が口をはさむ。
グレムリン事件を思い出させる手袋があると、直樹の機嫌はすこぶる悪い。
弟にハメられた記憶が、よみがえるせいだろう。
おかげで悪態をつかれても、孝輔はニヤリとしてしまう。
珍しく、兄貴にほえ面をかかせることができたのだから。
たまにはこういう時がないと、直樹の弟などやっていられるものではなかった。
それは、まだ手袋の中に住んでいた。
出て行こうとすると、すぐにやる気がうせてしまうのだから、ついにそれは手袋の中から出るのをあきらめたようだ。
手袋のしわをうまい具合に使って、顔らしいものを作ることも覚えた。
手袋は軽めなので、中でのうごめきを利用して、手袋ごと動くことも覚えた。
孝輔とは、同じ機械属性で居心地がいいのか、気がつくと彼の傍で、うごうごしている。
今は、手袋の指先をつかって、飛び交う電波を捕まえようとしているかのようだ。
最近は、そんな姿を可愛いと思うようになってきた自分に戸惑っている。
そこを動いているのは、彼らの言うところの、「化け物」なのに。
「すっかり、なついちゃいましたね」
コーヒーを届けてくれたサヤが、手袋をよけながらマグカップを渡してくれる。
半端に動けるものだから、悪さをすることがあるのだ。
この間は、勝手に孝輔のパソコンのキーボードを押していた。
「同じ引きこもり同士、ひかれあってるんだろ!」
孝輔が答えるより早く、眼鏡が口をはさむ。
グレムリン事件を思い出させる手袋があると、直樹の機嫌はすこぶる悪い。
弟にハメられた記憶が、よみがえるせいだろう。
おかげで悪態をつかれても、孝輔はニヤリとしてしまう。
珍しく、兄貴にほえ面をかかせることができたのだから。
たまにはこういう時がないと、直樹の弟などやっていられるものではなかった。