真理子の人生
スナックのお客さんで滝川さんという人がいた。

いつも祇園の高級クラブで飲んだ後、クラブの女の子達を引き連れてきてくださる人だ。

毎日来てくれていた。

いわゆる太客様だ。

滝川さんの息子は私と同級生だった。

そのことは滝川さんも知っていた。

私は滝川さんのことは感じのいいお客さんと思っていたが、息子とは話したこともなかった。

暗い感じのオタク系の男子だ。

私と同じで友達もいないはずである。

ある日、突然滝川さんが息子を連れて店にきた。


「 うわっ!最悪だ 」

と、私は思ったが、

「よく店についてきたな」

と驚きの方が大きかった。

私は逃げるように

「先に、あがらしてもらいます」

と母に言ったが、滝川さんが

「せっかく息子を連れてきたんだからゆっくりしていけよ」

と言い、私は滝川息子の横に座らされた。

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