真理子の人生
「どうも、いらっしゃい」

と言うと

「めっちゃ綺麗やな」

と言ってくれた。

あのオタク少年がそんなことを言うとはこれまた驚きだった。

滝川親父は

「真理子ちゃん、なんか歌ってよ」

と言った。

歌には自信があったので唄う気は満々だったが、二度ほど断った。

そして、

「どうしても唄わなきゃダメですか?」

と言い、唄った。

「どうだ?うまいだろ。滝川息子よ」

と心の中で思いながら唄った。

滝川息子も

「うまいうまい」

と言いながら拍手をしてくれた。

滝川親父は

「ほな、次お前が唄え」

と息子に命令した。

滝川さんは唄があまりにも下手だ。

息子もおそらくヒドいものだろうと思っていたが、プロ級だった。

学校では目立たない少年が実は凄い人間だった。

話せば話すほどそう思った。

夜中の二時ぐらいに滝川親子は帰っていった。


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