言葉にしなきゃ伝わらない。
“あなた”が“あなた”らしくありますように...
ガラッ
大きくドアが開く音がした。
それと一緒に窓側のカーテンが一緒に大きく揺れ、私の視界を隠す。
今の私には転校生も、そして先生さえも見えない。
「お~しっそんじゃ、転校生に名前を書いてもらうからな!!目をかっぽじって見ろよ?」
どうやって、かっぽじるんですか?
手で?
機械で?・・・・って、どっちでもいいか。
どうやら転校生は先生の隣にいるみたいだ。
カーテンをどかそうと必死の私をよそに、皆の視線が転校生に注がれる。
何で、丁度私のとこだけなの!?
前の夏乃には、当たってなくて私だけ。
たった1人、私だけが視界が利かない状態。
早く見たくて仕方ないのに....何で私だけ!?
手で大きく一カ所を押さえると、今度は違う場所が浮き上がる。
こんなの永遠続く勢いじゃない!!
「・・・くくっ」
ふいに後ろから静かな笑い声が聞こえた。
くっそぉ..和馬め!!!
笑ってないで手伝ってよ!!、そんな思いを胸にカーテンと格闘していると・・・。
「おいおい~今頃の子供の名前は分かんないなー!!えーっと....ひ・・・むく?」
「先生ーー!!違うと思います!!!」
1人の生徒がツッこむ。