言葉にしなきゃ伝わらない。
料理が出てきたり、棺で運ばれたり。


すべてが、いきなりでついていけなかった。



3つの棺が黒塗りの高そうな車に入れられていく・・・


それを見て、ハンカチで目頭を押さえすすり泣く人たち。




寂しげな風が吹き、髪が揺れる。


みんなの目は・・・本当に泣いているの?


本当に・・・悲しいの?辛いの?



泣いてないのは私だけだった。







それから少しして、私は小さな座敷部屋に1人で座って、ただボーっと天井を見ていた時だった。



「―――誰が、あの子を引き取るの?」

「それより、遺産とかはどうなのよ?」

「うちは、もう手一杯だから....無理だわ」



隣の部屋から聞こえた会話。


お金の話と自分の話。


何だか自分が競にかかったような・・・・―――。





どうせ、お父さん達が死んで遺産がもらえて嬉しいって思っているんでしょう!?


ほら・・・悲しいなんて思って無い。



また、目頭が熱くなって鼻の奥がツンとしてきた。



今は・・・誰も見ていないけど...涙は流せなかった。


私は“可哀そうな弱い子”じゃない!...そう自分に言い聞かせて。


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