言葉にしなきゃ伝わらない。
それから・・・何か月かたった。
――――そして私は、知らない夫婦に引き取られた。
世の中ではこれを“養子”というらしい。
親戚たちは、お金だけもらって私を捨てた。
それは、だいたい分かっていた事だけど
真っ暗な世界が、さらに暗く深くなっていく・・・
もう・・・私は笑わない。
誰にも本当の自分は見せない...
そう誓った。
冬の冷たい風が私達―――偽物の親子を包む。
右手は、おじさん。左手は、おばさんにてを繋がれている
酷く気持ち悪かった。
そして、
車に乗せられ、どこか分からない田舎町に着いた。
車の中では、おばさんがニコニコと笑顔を振りまき、それを軽くあしらう私がいた。
これからの人生に何の希望も夢も・・・なにも望んでいない。
ただ、先にあるのは絶望と言う闇だけ。
古川 美月(フルカワ ミヅキ)
変わってしまった名字に嫌悪感を覚え、名前を呼ばれる事を嫌っていた。
心を捨て感情を捨てた....
あぁ・・・私はもう、人間ではなくなった瞬間。
そう感じた。