言葉にしなきゃ伝わらない。
携帯を持って、今度は優心に対して文字を打った。


『私のために泣いてくれて、ありがとう。傍にいてくれて、ありがとう。笑いかけてくれて、ありがとう。優しくしてくれて、ありがとう。全部の「ありがとう」を私は一生かけて優心に返すから』



私が携帯を差し出すと、優心の濡れた瞳と目があった。

その瞳が、まつげでゆっくりと隠れて...画面を読みあげていく。




すべての「ありがとう」を、大切な“あなた”に送るよ。

何にもできない私だけど、ずっとずっと優心の傍で笑っていたいから。



おじさん達になんか・・・絶対に負けない。


だって、優心がいてくれるから




「美月・・・」


少しだけかすれた優心の声。



「・・・俺こそ、美月に「ありがとう」や」


ううん、そんなこと...絶対に無いよ。



「喋れへんって、分かってても...いつも前向きで。虐待受けて体がぼろぼろになってても毎日、俺のそばにいてくれてる...」


それは、優心が大好きだから...頑張ろうって思えるんだよ。



「でも・・・もしかしたら、その強がりは俺のせいかもしれんな」


・・・えっ?、違うよ・・・全然違うよ。



少しずつ、いつもの優心の声に戻っていく。


でも、最後の言葉だけは理解することが出来ない。


「俺のせい」・・・それは、優心のせいで私が強がって....って、こと?



そんなわけ、絶対に無いよ。


どんな時でも、優心が待っててくれるから、夜に...また会えるって思えるから、痛みにも耐えれるの




優心のせいじゃない・・・・それだけは分かってよ....



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