言葉にしなきゃ伝わらない。
家に着いた途端、溜まっていた、すべての涙が頬を伝う。

流れてくる涙を止める...なんて事はしない。



ただ・・・止まるのを待つだけ。


玄関を開け、そのまま部屋に入りベッドに潜った。


“優心・・・優心...”って、何度も大好きな人の名前を呼ぶ。

強がって、笑顔を見せてたけど....もう限界だよ。



会いたいよ...

抱きしめて欲しいよ...

名前を呼んで欲しい...

笑ってほしい...

「おいで」って言ってほしい...


あまりにも“あなた”との思い出ばかりだから・・・・。


私の中には“あなた”で、いっぱいだったの。

苦しいくらい、嬉しいくらい、泣きたくなるくらい...好きで、どうしようもなくて。



心とか・・・全部持っていかれてるんだもん、優心に...。




足を抱えて、ただ泣いた。

止まるまで、私の涙が無くなるまで。


一向に止まる気配がない涙を...ただ流した。





――――・・・・そして。



いつのまにか朝が来ていた。

ベッドの周りは、溢れんばかりの陽が当たっており、少しだけベッドから出るのに勇気が必要だった。



――ピンポーーン

玄関から聞こえてくる無機質なチャイム音。

滅多に聞こえない音に少し不信感があり、気になって部屋から出ることにした。




・・・そう、これが私の運命を大きく左右する、“会話”だとは知らずに・・・・。


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