言葉にしなきゃ伝わらない。


ガチャッと静かにドアを開けた。


どうやら、おばさんは玄関で、お客さんと話しているみたいだった。


おぼつかない足取りで、ゆっくりと部屋を出る。

丁度、玄関から見えない場所で、そっと耳をすませた。



「――立花さん、知ってます?」


あぁ、この声は...おばさんの声じゃないから、お客さんの声だ。


一体、どんな話なんだろう。

そのまま、気になって息をひそめ、会話を聞く。



「え?何かあったんですか...?最近は仕事が忙しくて・・・」

そう言って、ふふっと上品な笑みを浮かべる、おばさん。

仕事なんて、ただのパートなのに。


人の前では良い顔して・・・本当、最悪な人間。



「あら、そうなんですか!?昨日の夜、中学生が自殺したらしいんですよ・・・・」


・・・自殺!?

その瞬間、頭に閃光が走るみたいに、一瞬、くらっとよろけそうになった。


中学生が・・・自殺?


中学生....って・・・。


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