言葉にしなきゃ伝わらない。

ダンッ!!!


机にあった、すべての料理が揺れた。


味噌汁は倒れ、からあげはボトボトと嫌な音をして落ちた。


おそるおそる...コップを渡そうとする手を下げ前を見る。




私の向かいにいる、おじさんが机に手を叩きつけていた。


顔を真っ赤にして。



「うるせぇんだよ!!!」


今までの、おじさんからは聞いたことが無いくらいな低くて大きい声。



血管が浮かび上がった、その手で....おばさんの胸ぐらをつかんだ。




一瞬の出来事だった。



・・・――そう、このピンピンに張りつめた空気を出していたのは・・・


おじさんだった。



その糸を、怒声でプチンと切ったのだ。



「・・あっ・・あなたっ!!・・くっ」


苦しそうに顔をゆがめている、おばさん。

手と足をばたつかせ、机にある料理が次々と落ちていく。




ただ、その光景を眺めるだけの私だった。


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