言葉にしなきゃ伝わらない。
「ちょっと~なに暗い顔してんのよ!?また、あの夢見たの?」


いきなり紅華が視界に入って来た。



「.....うん。」



喋ることが出来なかった私に“会話”を教えてくれたのも紅華。

・・・でも、まだまだ完全にとは、いかなくて...。


相手の言葉に、終止形で返すだけ程度。

だけど、これは私にとって本当に大きな成長だった。



「ほらほら~~暗いぞ――!!」


「....ごめん。」



明るい紅華と対照的に暗い私。


誰がどう見ても“親子”とは、思わないだろう。

ましてや世界でも名の知れた化粧品会社の社長の娘が、こんな平凡以下の子なんて。



ふいに、紅華の綺麗な手で私の頬をつままれた。


「むにぃ~!!!ほらっ笑いなさい、いくらでもご飯食べながら話しは聞くから」


ふわりと微笑み、大きなリビングの椅子に座らされた。



ガラスの机の上には、もう朝食が用意されていた。

いつもいつも朝早く起きて仕事だって忙しいのに、ちゃんと作ってくれている。
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