言葉にしなきゃ伝わらない。


「美月、さぁめしあがれ?」


紅華は私の向かいの席に腰を下ろした。



家族二人だけで住むには、考えられないような大きな家。


家全体に、朝食の良い香りが充満している。




「...いっ....いただきます。」


「もう~「いただきます」くらい、ちゃんと言いなさいよ」


「・・・うん。」



こんな会話を毎日、何回も...。


これでも、大分、進歩した方



ト―ストに目玉焼き、トマトサラダ、そのほか4品。

目の前の豪華な料理にいつも感心する。




手を進め、もくもくと食べていく。


その姿を優しく見ている紅華。



こんな時間がいつまでも続けば...そう、私は日々思ってる。



「――ねぇ、美月。あの日、私と来て良かったって思ってる?」


唐突な質問。

多分、夢の事と私の事を心配して話してくれているんだろう。




そして、また・・・あの日の事を話す時が来た。
< 95 / 144 >

この作品をシェア

pagetop