言葉にしなきゃ伝わらない。
「姉さんが死んだって留学中に聞いて、急いで帰って来た。でも、もう何もかも済んでて私は親族たちから・・って親族って言っていいかわかんないけど、周りから冷たい目をされてさ...」



「・・うん。」



「そん時に美月の事を聞いたの、姉さんが結婚してるのも子供が生まれてるのも知らなかったから本当にビックリした。」


ふふっと笑うと、指通りが良く柔らかな髪を耳にかけた。




私は話を聞きながら目玉焼きに手をつけているとこだった。

綺麗な形の目玉焼き、きっと私がやったらこんな風には出来ない。



ちゃんと私のためを思って毎日作ってくれていると思うと心が熱くなってくる。




「それでね、美月について調べたのよ。まぁ、そんな関係の知り合い多くて、すぐ見つけたの美月の居場所と環境を」


そして、少し時間を空けて、また口を開く。



「初めてここに来た時、近所の人に聞いてみたの、「美月さんって知ってますか?」って。そしたら見たことが無いって言うじゃない。それで、おかしいって思ったの。こんなに家が近いのに知らないってありえないじゃない?」


力強い紅華の声。

よく通り、よく響く。
さすが、社長さんなだけはある。



でも、初めて知った。

そんなに紅華が私について調べていたという事を。



中2の、あの日。

しっかりと覚えてる。



あんなこと・・・忘れろって言う方が無理なのかもしれない

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