言葉にしなきゃ伝わらない。
喉を通らない朝食。
最悪な―――知らせ。
涙で埋もれた心。
すべて...覚えてる。
空気も時間も声も...何一つ欠けずに、私の胸の奥にある。
2回目の無機質なチャイム音。
おばさんが玄関を開ける音と共に聞こえた――怒鳴り声。
『私の子に、なんてことやってるのよ!?』
リビングにまで通る綺麗な声だった。
「あっ・・・あなたは何ですか!??」
おばさんの驚いた声。
確かに驚くには決まってる...けど、どこかに思い当たる節があるんじゃないの?って思う。
――それから、事態は驚くほどスムーズに進んだ。
この家から出る手続きも、私の居場所もすべて紅華が用意してくれた。
強引に何もかも進めていって、私はただ見ているだけだったの
強くてカッコ良くて綺麗で...
私が欲しいもの...すべてを持っている女性。
それが紅華に対する第一印象だった