言葉にしなきゃ伝わらない。


「この家に来てから一生懸命、美月と話そうとすると話そうとする前に美月が逃げちゃうからさー。私、すっごーくショックだったのよ?」



あっ...。


確かに初めてここに来た時は、質問攻めに合わされちゃってたんだっけ。


うるさいぐらいに付きまとってきて、でも私は逃げてばっかだった。



自分が話せないって事を紅華に知られたくなかったから。




「それで強引に捕まえて聞いてみたら...まぁ聞くっていうか筆談だったけど。私は喋ることが出来ないって聞いて・・・絶対に、この子を幸せにしようって、その時...本気で思ったの」



何度も何度も聞かれた。


「私このことが嫌い?」って

「何で話してくれないの?」って



嫌いじゃ無い。

話したかった。


・・・けど、出来なかった。




弱虫な私は、いつでも自分の殻に閉じこもって周りを見て無かったから。


その固い殻を・・・紅華が力づくで外してくれた....。
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