スカイ


私、市川優音は、非常におだやかな生徒であった。

校則もちゃんと守り、スカートは少し短いくらい。

ケンカなんてもってのほかだった。

成績は、そこそこいい感じ。

剣道部で、女子キャプテンを務めている。

あとは特に目につくところはなかった。


友達関係も、特に大きな事件もなく生きてきた。

新しいクラスでも、一年生の時に仲良くなった由香がいるし、部活が同じの真子もいたから、やっていけそうだった。




始業式から数日後、委員会を決めなくてはいけなかった。

一年生の時は、前期、希望してなかった学級委員になってしまったが、後期は委員会には入らなかった。

でも二年生になって、委員会に入ろうと決めた。

好きな人が、入るって言ってたから。

私の好きな人、剣道部キャプテンの中川俊太は、恥ずかしがり屋でいじられキャラだった。

本来なら、キャプテンとかやる柄じゃないと思う。

でも、剣道上手いから、ほぼ必然的にキャプテンに選ばれた。



部活の始まる前に、

「委員会、何はいる?」

と聞いてみた。

中川は竹刀を整備していたて、下を向いたまま、

「まだ決めてない」

と答えた。

「じゃ図書委員はどう?」

「…」

「あ、前保健委員だっけ?じゃあ保健やる?」

「そうだな…」

「じゃああたしも保健委員やろっかな」

「…」

「絶対ね?」

中川は、少し目線を上げて

「…ああ」

と言った。

めちゃくちゃ嬉しかった。


でも正直、保健委員はあまりやりたくなかった。

図書委員が、良かったな…。

本、好きだし。

でも、中川と少しでも一緒がいいし、しょうがない!


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