スカイ


肝試し係がスタンバイ中ということで、まだ明るいし先生達が怪談話をした。

私は、怖い系のは基本無理だ。

かなりのビビりである。

「後ろを振り返るとそこには…っ!!」

「ひぃぃぃっ!!!!」

「あはは、優音怖がりすぎ」

真子は平気なようだ。

そういえばオカルト好きとか言ってたなぁ。



先生の話も盛り上がってきたころ、周りも暗くなってきた。

肝試し係が準備が出来たところで、1組の1班がスタートした。


暗いってだけで無理なのに。

こんな森の中歩くなんて死んじゃうよ。



ルールは、森の奥にある石を持ってくるというもの。

行く途中に、さっき準備していた肝試し係がおばけ役をしていて…。


でも班のメンバーで行くから、少し安心。

5人もいるしね。



そして私達の番。

私は震えながら前を歩いてくれる皆に着いていった。

「うぉぉぉぉぉ!!!!」

「きゃぁぁぁあああ!?」

い、いきなりっ…。

気が付くと真子に飛び付いていた。

「大丈夫、落ち着いて。あれはうちのクラスのいつもヒョロヒョロしてる奴じゃない」

真子はそう言ってくれた。

でも私は落ち着けない。

「わっ?なんか動いた!」

「木だ!いちいち怖がるなよ〜俺もビビるじゃん」

森くんも意外と苦手みたいだ。



カサッ……

私の後ろで何か動いた。

ゆっくり振り返ってみる。



「………わっ!!!」

「っきゃーーーーーー!?!?!?!?!?!?!?!?!?」



「あははははは!」

前田くんが後ろで爆笑していた。

他の皆はずんずん先へ進んでいく。

「もう、ばか!…驚かさないでよ」

「あはは、面白すぎ」

「もう…っ」

こんなに笑ってる前田くん初めて見た。

こんな笑い方、するんだ…。


「ん」

す、と伸びてきた手。

昼と同じ手だ。

掴むと、

「行くぞ」

と言ってそのまま引っ張っていった。



何だろ、怖いのが少し無くなった。

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