スカイ
「どうだった!?」
キラキラの笑顔で、理穂ちゃんと由香が聞いてきた。
「振られちゃった」
あはは、と弱々しく笑った。
一瞬、2人の顔が曇る。
本当に…
申し訳ないな。
せっかくあんなに、応援してくれてたのに。
でも、すぐ2人は笑ってくれて。
「あいつ優音を振るなんてどーかしてるよ!」
「本当だよ。こんないい女をね」
由香は、ぽん、と頭に手を置いて優しく笑ってくれた。
涙が、出そうになる。
でもそれをぐっとこらえた。
こんなとこで泣いちゃダメだ。
2人にこれ以上気を遣わせちゃダメだ。
でも。
歯を食い縛ってないと泣いちゃいそうで
何も言葉を発することが出来なかった。
それでも
「てゆーか虫多すぎ!うち身体中かゆいんだけど〜」
「私も〜!かゆすぎ!」
2人はそれから、その話題について触れないでいてくれて。
私はその優しさにまた涙が出そうになった。
そのあと、センター本館の部屋に戻って、寝る準備をした。
今夜は、クラス全員で同じ部屋で寝る。
布団がたくさん並べてあって、自由に選べたのだけど、
理穂ちゃんが一番に端っこの布団を3つ取ってくれた。
端っこにしてくれたのは、きっと私が静かに泣けるように。
それを2人が隠せるように…。