スカイ




鱒掴みのあと、皆で鱒を焼いて食べた。

塩辛かったけど、自分でとったものだからか、なんだか美味しく感じた。






そして帰る時間。

いろいろあった、林間学校。

少し寂しい。


最後にセンターの人に皆で挨拶をして、バスに乗った。

帰りのバスは、音楽を流した。

前の席は前田くん。

昨日のことを思い出して、少し恥ずかしくなった。

そういえば、前田くんは何で昨日あそこに来たんだろう。


前田くんも眠れなかったのかな。


それにしても。

前田くんって、いい人だよね。

無表情、って少し違うのかも。

いろんな顔、するし。

笑顔も、照れた顔も可愛いし。

最初のイメージとは、全然違う人だった。



「…優音?顔赤いよ?」

「え?」

由香に言われ、頬に手を当ててみる。

いつもより熱くなっていた。

「大丈夫?疲れて熱出た?」

「え、そうなのかな?」

「今日は早く寝なきゃね」

由香、お母さんみたい。

なんだかいつもより優しい。

「ふふ、ありがとう」


にっこり笑う由香。

由香の笑顔は、本当に可愛い。

私たちはそれから、疲れて寝てしまった。






学校に帰って来ると、たくさんお母さん達が迎えに来ていた。

なんとなく、あったかい気持ちになる。



家に帰って、お母さんに土産話をたくさんした。

楽しかった、そう言った。

嘘じゃない。

楽しかった。

それは友達のおかげ。

由香や理穂ちゃんがいてくれたから。

それに、前田くんも…。


告白、ダメだったけど、なんだか吹っ切れた感じ。


なんだかあったかいんだよ。

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