スカイ

「嘘でしょ…？」

だって由香、何も言ってなかったよ？

いつも通り、普通だった………


「…本当、だよ」

…あ……。

あの時。

顔が曇ったのは…。


「俺、フラれたんだ。…はは、かっこわりぃよな」

「…いつ？」

「林間学校のとき。呼び出されてさ」

林間学校…？

「…しら、な、かった…私…」

「そっか…由香ちゃんと仲いいんだっけ」

「…私…どうしよう…」

自分のことしか考えてなかった。

由香は、きっと苦しんでたはずなのに。

私、由香に気を遣わせて…。

バカだ。

「優音ちゃん、そんな悲しい顔しないで…。何もしなかった俺が悪いんだから」

もう、水城くんの言葉が頭に入らない。

「私…っ…」

「市川」


ぐいっ

前田君が私の腕を引いた。

視界から水城くんがいなくなる。

図書準備室の奥。

前田君と、本棚の後ろでしゃがんだ。