スカイ
「前田くん…?」
「大丈夫か」
「え」
「目、赤い」
あ、いつの間にか目に涙がたまっていた。
また私、自分ばっかり。
自分ばっかり悲しんで…。
皆に慰めてもらって、勝手に幸せになって。
私、何も知らずに。
由香の、何も知らずに。
由香は支えてくれたのに…私は…。
「市川。お前は悪くない」
ふわりと、視界が暗くなった。
前田くんは私を抱きしめていた。
「前田くん…?」
私は、悲しいのと、驚いてるので頭がぐちゃぐちゃだ。
でも、少しだけ、居心地がいいのはなんでだろう。
「お前は何も知らなかったんだ。しょうがない」
「でも…っ」
「いい友達だな」
ゆっくり、私を離して、私の目をみてほほ笑んだ。
「その優しさは、受け止めないと」
「…っ……」
頬に、温かいものが流れた。
前田くんが優しくするからだよ。泣いちゃったじゃん…。
「………あ、りが、とう…」
変な声になりながらも、気持ちを伝えた。
こんなに優しい男の子、いるんだね。
「今日はもう、いいから。裏の扉から、出て」
「…ごめん……」
「あいつは俺が言っとくから」
「ありがとう…」
私は、図書準備室の裏の扉から出ようと、立ち上がった。
「あっ、そうだ」
「?」
前田くんは、ポケットからメモを取り出して何か書きだした。
「これ。何かあったらメールしろ」
メモには、メールアドレスが書かれていた。
私はうなずいて、外に出た。