スカイ

ありがとう…。

ありがとう…。

ありがとう…。

いくら言っても足りないくらい、ありがとう。

『ありがとう』を気づかせてくれたのは、前田くん…。

何だか、たくさん助けてもらってる気がするな…。







それから私達は、お互いのことを何でも話した。

由香は、夏休み中にも、一度もデートも何もなくて、気持ちが冷めちゃったんだって。

それで付き合っていくのは水城くんにも失礼だから、振ったみたい。

全部話してくれたあと、由香は私に話を振った。

「それで、優音はまだ中川のこと好きなの?」

「えっ、…うーん?」


そんなこと、考えてなかった。

前のように見つめることや喋ることはしてないし…。

だから、ドキドキもしない。

「好き、じゃないかなぁ…」

「うん、だよね」

「え?『だよね』って何!」

由香が、小悪魔の笑顔で笑う。

「ふふっ、まだ気付いてないんだね?」

「何が!」

由香は、もっと意地悪な顔をして笑った。

「優音はもう…………………………………あっ!」


「え?」

「もうこんな時間!!お昼の時間!」

「本当だ」

時計を見ると、12時半を指していた。

再登校で14時から部活が始まる。

「ヤバイ!部活!!」


「ふふっ、帰らなきゃ」


由香は、謎の笑みを浮かべながら立ち上がった。



私はよくわからなくて、帰り道に必死でさっきの言葉の続きを聞いたけど…、教えてくれなかった。


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