あなたの視線
―土曜日、朝。


まるで天も二人を
祝福しているかのような
さっぱりとした夏晴れ
だった。



「さくら〜!
起きてんの〜!!」


「起きてるよ〜!!」


「早く支度しなさ〜い!!」


朝から母の張り切った
声が家中に響き渡って
いる。


1階に下りるとすでに
お父さんがスーツに着替え新聞を片手にコーヒーを
飲んでいた。


「おはよ〜
お父さん」


「おっ、おはよう。
早く支度しないと
母さんに怒られるぞ〜」


「はぁ〜い」


お父さんは仕事で
ほとんど家にいないが
休みの日はお母さんと
出掛けたり、私の話も
よく聞いてくれる。


私は顔を洗い部屋に
戻ると化粧ポーチを
取り出した。


ピンクのワンピースに
合わせて薄いメイクに
した。メイクが終わる
と、髪を巻きそれをサイドで一つにまとめフワフワにした。


最後にワンピースをきて
ポーチに携帯、ハンカチ、グロスをいれ部屋を出た。

一階に下りるとまだ慌ただしく動きまわっている母‥

「母さん‥そろそろ
出ないと」


「あっそうね。
行きましょうか」
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