メイドは見た！

第八話(萌架side)

お嬢様の食事の支度をしている途中、
お嬢様のお父様の譲二様の部屋の前で
馬渕さんを見かけた。
「ま、馬渕さ…」
私が
馬渕さんを呼ぼうとしたのと同じタイミングで
馬渕さんは
譲二様の部屋の中に入って行った。

覗きなんて趣味じゃないけど、
少し怪しかったから、
ただそれだけの理由で
あたしは譲二様の部屋を覗いた。

「失礼します…譲二様」
「おお、馬渕。」
譲二様はお嬢様の前では変なキャラだけど、
本当はすごく生真面目な人。
「要件はなんだ？」
「お嬢様の件なんですが」
「あぁ、帆那か。」
「最近少し気になりませんか？」
何がだろう。
もしかして…私達と関わってる事？
「豹と萌架の事か？」
や、やっぱり…！
どうしよう。
クビになっちゃうのかな？
「帆那も年頃だ。軽く見ておけ。
あと帆那のワガママに従うことはないぞ。
どうせいやがらせを仕込めとか
言われてるんだろ？」
「さすが譲二様」
いやがらせ…？
どういうこと？
「譲二様が把握されていらっしゃるなら
私の要件はもう無いです。
失礼しました。」
馬渕さんの足音が近づき、
私は慌ててドアから離れ、
階段へと走った。