狼の話
汚らしい姿をした痩せた少年だ。

髪がだらしなく伸びて、肌も基は何色なのか判らない位に汚れてしまっている。

身に着けているのは服というよりもボロ切れで、空いた穴から浮いた肋が呼吸と共に上下しているのが見える。

息をしている事を確認して、初めて生きていることが判る。

それぐらいに少年は痩せてしまっていた。

彼がそうなっている理由はふたつあった。

1つは数年前に少年をこの街に置き去りにして捨てて行った無責任な親のせい。

もう1つは少年が生きる事を放棄しようとしているせいだった。

彼は死のうとしていた。
方法は餓死。
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