激甘カレは超セレブ
③
結局昼休みはあんな調子で、オヤジーズのプロフィール完全制覇は出来なかった。
先輩秘書よりも先に戻らなくちゃならないと思ったあたしは、香里より早く食堂を出た。
今はまだ誰も戻って来てないオフィスに一人。
……ヤバい。
全部今日中は無理かも。
でも覚えなきゃあたしのメンツがたたんしなぁ。
さっきの書類とにらめっこを始めるけど。
「はぁ……。」
新しく与えられたデスクに突っ伏す。
なんだかやる気にならない。
そりゃそうだ。
あたしが希望して移動したんじゃない。
第一営業部でそれなりにキャリアを積んだあたしが、どうして今更花形の秘書課なんかに行かなきゃなんないの。
「絶対誰かの策略だわ。」
すると、ちょっと離れたところでノックする音がした。