激甘カレは超セレブ


行くわよ。

行くのよ。


だから…………



「離しなさいよ。」


この腕を。


いつまでも抱きしめないで。



あたしの未来を奪わないでったら。






「本当に気付いて貰えないみたいですね。僕ももっと頑張らないと駄目なのか。
今後はもっと社員と係わる機会を増やさなくては……。」



思い詰めたようにブツブツ何かを言い出した。



「気付いて貰えないって、そら知らないわよ。アナタみたいな新入社員。
出世したいなら社内でも名刺くらい先に出しなさいよ。」



極力優しく教えてあげた。

だってこの会社はマンモス級の大会社だから。

社員なんて顔も名前も覚えられないくらい居るんだからね。


小さな事からコツコツと。
塵も積もれば山となる、よ。

自分の未来を創造するんだ。
あたし達の将来は、気付いた時から始まる。


まぁそれなりにキャリアを積んだあたしのモットー。


会社の理念も確か似たような感じだった。


だから、元カレの堤が居てもこの会社に決めたんだ。

< 43 / 93 >

この作品をシェア

pagetop