激甘カレは超セレブ
行くわよ。
行くのよ。
だから…………
「離しなさいよ。」
この腕を。
いつまでも抱きしめないで。
あたしの未来を奪わないでったら。
「本当に気付いて貰えないみたいですね。僕ももっと頑張らないと駄目なのか。
今後はもっと社員と係わる機会を増やさなくては……。」
思い詰めたようにブツブツ何かを言い出した。
「気付いて貰えないって、そら知らないわよ。アナタみたいな新入社員。
出世したいなら社内でも名刺くらい先に出しなさいよ。」
極力優しく教えてあげた。
だってこの会社はマンモス級の大会社だから。
社員なんて顔も名前も覚えられないくらい居るんだからね。
小さな事からコツコツと。
塵も積もれば山となる、よ。
自分の未来を創造するんだ。
あたし達の将来は、気付いた時から始まる。
まぁそれなりにキャリアを積んだあたしのモットー。
会社の理念も確か似たような感じだった。
だから、元カレの堤が居てもこの会社に決めたんだ。